子供の咳と治療

子供の長引く咳や痰がらみの治療

「熱は無いのに咳が出る」
「夜になると咳が出ている」
「子供の咳が止まらない」
など、お子さんの咳が心配で受診される保護者の方がたくさんいらっしゃいます。

咳だけで病院に行った方が良いのか?どれくらい咳が続いたら病院へ行った方が良いのか?など保護者の方の心配が少しでも解消すればと思い、耳・鼻・のどの専門家である耳鼻咽喉科専門医の目線で、子供の咳に関する情報をお伝えします。

子供の咳

子供に限らず、咳は体に入ってきた細菌やウイルス、誤って飲み込んだ異物などを排出するための体の防御反応です。
咳そのものは必要な反応であると言えるのですが、咳が長引くと夜の眠りが妨げられ、日中の集中力が低下がみられます。
ですから、咳をする場合は無理に咳を止めるのでは無く、原因と考えられる要因を取り除くことが大切です。

子供の咳はなぜ夜に多いの?

夜間、就寝中は副交感神経が優位になり、気管支が狭くなるので咳が出やすくなります。
また、体は温かいのに、空気が寒いと温度差でのどや気管支が刺激され咳が出やすくなります。
他には、横になる(寝転ぶ)と鼻水がのどに流れやすくなり、その刺激でより咳が出やすくなります。

子供の咳でよく見られる病気

鼻やのど(上気道)が原因で出る咳

かぜによる咳(感冒後咳嗽)、後鼻漏による咳、鼻炎による咳、など

鼻水が出たり、鼻がぐずぐず言ったり、鼻が詰まっている、痰がからんだようなゼロゼロした呼吸音がある場合は鼻やのどが原因のことが多いため、耳鼻咽喉科を受診すると良いでしょう。

気管や肺(下気道)が原因で出る咳

クループ、気管支炎・肺炎、気管支喘息、咳喘息、など

・ヒューヒューゼイゼイという音(喘鳴)がある
・顔色が悪い
・何か飲み込んで気道に入った可能性がある
・鎖骨の上や肋骨の下が呼吸に合わせてへこんでいる(陥没呼吸)
・呼吸のたびに小鼻がピクピクしたり、膨らんだりしぼんだりしている(鼻翼呼吸)
・肩で呼吸している
・犬の遠吠えやオットセイの鳴き声のような咳をしている

これらの症状がある場合は気管や肺の疾患の可能性が高いため、小児科を受診していただくと良いでしょう。
特にせき込みが激しく、呼吸が苦しそうな場合や、顔色・唇の色が悪い(青い)場合、呼吸困難で動けない場合、犬の遠吠えやオットセイの鳴き声のような咳をしている場合は早めに救急外来を受診するようにしてください。

治療について

子供が咳をしていると、気管支炎や気管支喘息を心配される保護者の方が多いのですが、実は鼻水が喉に垂れる(後鼻漏)ことが原因で咳が出ることが多いです。
子供は免疫機能が発達途中のため、簡単に色々な細菌やウイルスに感染してしまい、その度に鼻水が出ます。1週間前に風邪が治ったと思ったのに、また別の風邪にかかって鼻水を垂らしている、ということは珍しくありません。

そのため、鼻の治療をしてあげなければ咳が治まらず、逆に鼻の治療をすることで自然と咳が治まるということがよくあります。実は小児科を受診していてもなかなか咳が治まらないと言って耳鼻科を受診される方もたくさんいらっしゃるのです。

鼻水を伴う咳は鼻と喉の専門家である耳鼻科を受診する、と覚えておいていただくと良いかもしれません。

ご自宅でできる対処

  • こまめに水分補給をさせる
  • こまめに換気をしつつ、湿度は50~60%を維持する
  • 家でも鼻水を吸引する

咳が出ている時はのどが敏感になっています。
その時に空気が乾燥し、ホコリが舞っていると、それらがさらに刺激となって咳を誘発してしまいます。ですから、湿度を管理して、こまめに水分を補給することで喉のうるおいを保ってあげると良いでしょう。

また、鼻水が喉に垂れることも咳の原因となりますが、こまめに水分を取ることで喉に垂れた鼻水(痰)が流れやすくなります。大人も一緒ですが、痰が気になって咳払いをすると、それが刺激となって咳を誘発しますので、痰が気になる場合は水分と一緒に飲み込むようにすると良いでしょう。

赤ちゃん用の電動の鼻水吸引器を購入し、ご自宅で鼻水を吸引してあげるのも良いでしょう。

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